2018.12.18. 改訂
辞書(英仏-仏英辞典まで)については 2023.12.23. 改訂
辞書は必ず最新版を買うように。古い辞書には新しい言葉 ― 例えばコンピューター関係用語など、最新の技術用語・専門用語など ― がのっていない! 古本ですませて節約しようとすると、かえって大きな損失となることがあるので注意。
どういう選び方ができるかは「紙の辞書 それとも 電子辞書?」で説明しているので、それを参考にしてほしい。「辞書の賢い使い方」もあわせてどうぞ。
はじめてフランス語を学ぶ人に。
ただ、変化が激しい現代では、新語/新語義が次々と登場する。だから、中・上級レベルの人でも、最新の語彙・語義を調べようとしたら、改訂が頻繁に行われるこのクラスの辞典を参照する必要に迫られることもあるだろう。(もっとも、上級レベルの人なら、インターネットでフランス語のサイトを検索して確認する方が早いだろう。中級レベルの人には少し荷が重いかもしれないが・・・)
以下、最新版から順に紹介することにしよう。
通常の仏和辞典とは編集方針を異にし、はっきりした目的をもって編集された学習仏和辞典。
第1外国語としてフランス語を学ぶ人、中級以上の人に薦める。
ラルース社のDictionnaire du francais langue etrangere, Niveau 2(外国人学習者のためのフランス語辞典)をベースにして、日本人学習者のためにつくられた画期的な学習フランス語辞典である。特にフランス語を書くときには、強い味方になるに違いない。
この辞典は「仏和辞典」となっているが、実際には語義、語法、文法、フランス語構文(シンタックス)などを丁寧に調べながら、現実にフランス語がどのように使われる(話され、書かれる)かを学習者が理解し、身に付けてゆくことを目的とした辞典である。「まえがき」の文章を引用しながら解説するなら、つぎのようになるだろう。
この辞書は、「外国語を日本語に通訳する道具とみなす、むかしながらの考え方」ではなく、「一つ一つの語を、どんな場面、どんな文脈で、発話意図に応じて選び、他のどんな言葉と、どんなふうに組み合わせて、文にまとめあげればいいのか、いけないのか、その使い方がわかる」ように編集されている。それによって、フランス語の「言語活動のプロセスをできるだけ忠実に意識化し、再現、記述し、辞書を引く人に追体験させ、同じ言語共同体の一員として、同じ言葉を使って自由に表現し、理解する活動ができるようにいざなう」ことが可能となるような、「理想の辞典」を目指している、ということだ。この辞書の具体的特徴をあげると次のようになるだろう。
第1外国語としてフランス語を学ぶ人、中級以上の人に薦める。
見出し語を約9万語、実用的な用例を約12万収録。『ロワイヤル仏和中辞典[第2版]』(2005年刊行)がWEBアプリになったもので、PCと通信環境が必要;スマートフォン・タブレットは動作保証の対象外とのこと。詳しくは旺文社のホームページでの紹介をどうぞ。
第2版は付属のCD-ROMをパソコンのハードディスクにコピーして使うのがもっとも便利な使い方だった。ただしWindows PCのInternet Explorer上でしか使えなかったし、Internet Explorerのサービスが終了したため、今では使い道がなくなってしまった。そのあとを受けてWEBアプリが発売されたわけである。Windows PC だけでなく Mac でも使えるようになったのは進歩と言えるだろう(OS:Windows 10/11;macOS 12以上、ブラウザ:Google Chrome(最新版)、Microsoft Edge(最新版)とのこと)。
なお、『ロワイヤル仏和中辞典[第2版]』はカシオ 電子辞書 エクスワード フランス語モデルに収められている。
詳しくは大修館のホームページでの紹介をどうぞ。
フランス語上級者・専門家向け
仏和大辞典なら、まずこれを薦める。詳しくは小学館のホームページでの紹介をどうぞ。
古典をひもとくための学問的な辞典というよりは、むしろさまざまな分野の現代フランス語を使いこなすためにつくられた辞典。編集の基本方針はフランス語の「現用尊重」と「連語関係重視」である。
「はじめに」で書かれているように、この辞典は「現代世界のあらゆる持ち場で生活しながら、日々フランス語で出版されている新聞、雑誌、各分野の最前線を形成する論文、専門誌、単行本等々を間断なく目にしている方々――ジャーナリスト、経済人、政治・外交の実務家、人文・社会・自然科学・工学・技術の専門化、音楽・美術・モード等々の関係者」がそれぞれの専門職で使えるように編集されている。たとえば、新語、固有名詞、合成語などを積極的に収録し、訳語も思い切って単純、明快、断定的に示されている。
用例や語法の解説も豊富で、とくに実務で使うためのものとしては現時点で最高レベルの仏和大辞典といえよう。
ただ、初版が出てすでに久しい。改訂版が待ち望まれる。
古典的な辞書作りの方法で、ていねいに編集された大辞典。序文を参考にしながらこの辞典の特色をまとまると、次のようになるだろう。
「一つ一つの単語を、できるだけ多くの角度から検討し、それらの単語のもつ意味を浮き彫りにし、立体化すること」、「語義の表示については、日本語の訳語を多く羅列することを意識的に避け、語義の陰影を(・・・)明らかにすること」、たとえば、
文学作品を読む時、単語の意味の広がりを考えながらフランス語のテキストを読む時には、大変役に立つ辞典であると思う。
辞典は訳語の単なる羅列であってはならないということは、どの辞書にも共通して言えることだが、この和仏辞典はとくにその点に注意を払って編集されている。たとえば「わかる」という日本語に対応するフランス語の動詞は何かを調べると、見出しの配列に工夫しながら「わかる」がどう言う意味で使われているかをまず定義し、それによってcomprendre、savoir、connaître、voirなど、それぞれの意味に対応する動詞があげられているのである。他の和仏辞典でもそうした配慮はもちろんなされているが、見出しの配列のしかた、分類の仕方が非常にわかりやすく、語学歴が浅い利用者にも容易に違いが区別できるよう編集されている点は高く評価してよい。フランス語で文章を書くときや、フランス語で発表する際の原稿を準備するときなど、とくに役に立つ和仏辞典である。
旺文社のホームページでは次のように紹介されている。
本格的和仏辞典の全面改訂版。「メタボリック症候群」などの新語やインターネット用語、各種専門語を補強して4万6千語を収録。状況ごとの関連表現をまとめた「表現」欄、語の使い分けを明示する「類語」欄などの豊富なコラムに加え、多様な表現を一覧できる「コロケーション」欄を新設し、フランス人翻訳家の協力を得て、日本の漫画で多用される擬音語・擬態語の訳例を紹介するなど新機軸も豊富です。日常学習から専門的な翻訳業務まで、幅広い要求に応えられる和仏辞典の決定版です。
ていねいにつくられた本格的和仏辞典。「付録」もよくできているのでおおいに利用したい。
『プチ・ロワイヤル和仏辞典』が初級から中級レベルの学習者に対して親切な和仏であるとしたら、こちらはむしろ中級者から上級者向けというべきだろう。
予算に限りのある人、あるいはしょっちゅう持ち歩いて機動的に使いたいという人にはこれがよい。「囲み」のページにテーマごとに関連語彙・表現がまとめられているのも大変便利。小なりといえども使いでは十分にある和仏辞典である。
電子辞書の普及により、携帯用小型辞書の役割はほとんど終わったというべきか・・・
フランス語関係では以下の辞典が収録されている。
ただし、初心者がいきなり『小学館ロベール仏和大辞典』を使いこなすのは難しい。それ以外にも電子辞書を賢く使うためには知っておくべきことがいくつかある。電子辞書と紙の辞書の違い、それぞれの利点と欠点、また使い方などについては、「紙の辞書 それとも 電子辞書?」を見てください。「辞書の賢い使い方」もどうぞ。
フランス語以外では、たとえば次のような辞典などが収録されている。
電子辞書は、時間の経過とともに同じシリーズの新製品が発売される ― それとともに型番が変わる。
他社が同じような製品と発売する可能性もないとは言えないので、注意が必要。
通称 Petit Robert(プチ・ロベール)の最新版。本格的な仏仏辞典をといえばまずこれをすすめる。petit(小さい)という形容詞にだまされてはいけない。『小学館ロベール仏和大辞典』(28000円+税)のもとになっているのがこれで、質・量共に大辞典クラス。全8巻の Grand Robert に較べれば petit であるだけである。
なお、Petit Robertの旧版(何年版かは不明)が『 カシオ 電子辞書 エクスワード フランス語モデル』に収録されている。
Le Robertからは以下のような辞書も見つけることができます。
百科事典がほしいという人には Petit Larousse (毎年改訂)をすすめておこう。これにも"petit" とついているが、決して小さくはない。
機能主義に徹して、辞書編集に新風を吹き込んだ語学教育用フランス語辞典Dictionnaire du Francais contemporain, Larousse(1971年増補改訂)の縮刷・復刻版。例えば動詞を例にとると、主語は「人」か「もの」かの区別、目的語をとる、とらない、もしもとる場合には「人」か「もの」かの区別、どういう構文をとるか・・・等々、実際にフランス語で書くときに役に立つ(必要不可欠な)情報がたっぷり盛り込まれている。語法、類義語、反義語、関連語なども一目でわかるので、中級から上級にかけて、フランス語の応用力、実践能力を養うためには非常に役に立つ道具である。仏作文にも大変便利。オリジナル版は私も長いこと愛用した。
ただし、日本人学習者には、『白水社 ラルース仏和辞典』(2001年4月刊)(「ユニークな学習仏和辞典」を参照)の方がむしろ使いやすいだろう。
『白水社 ラルース仏和辞典』を十分に使いこなし、さらにレベルの高い同系統の仏仏辞典を手に入れたいという人には、次に紹介する Le Lexis をすすめる。
上に紹介した Dictionnaire du Francais contemporain の後を受けて出版された本格的なフランス語辞典。機能主義的特徴をそのまま引き継いでいるので高度な語学教育用辞典であり、作文のためにもたいへん便利な道具である。しかもその上に、語源の明示、文学テキストの例示、古典的・文学的用法への言及など、本格仏語辞典に不可欠な要素もきちんと取り込んでいる。仏語・仏文科の大学院生、フランス語教員、フランス語で文章を書く機会が多い人にすすめる。
英仏・仏英辞典(ペーパーバックの廉価版でよい - 1000円程度)も何種類かでているので、手に入れておくとよい。ただし普通は、洋書も一定数おいてあるような大型書店(例えば福岡の紀伊国屋書店)とか洋書専門の取扱店でないと見つからない。
なお、上に紹介した『 カシオ 電子辞書 エクスワード フランス語モデル』には英仏・仏英辞典が収録されている。
インターネット上で辞書を使うことができます。
詳しは、「戸口おすすめサイト」の「オンライン辞書」を参照のこと。
本当に使い物になる外国語を身につけたいと思ったら、まず耳と口をよく慣らすことだ。最初に聞き取りと発音の訓練をしっかりやっておけば上達も早い。なじめてフランス語を学ぶ人は、次の本を使ってみっちり訓練しておくことである。CDを聞いてくり返し練習することで、フランス語の発音、リズム、イントネーションになじんでいけるだろう。
音になじみながら、あわせて聞き取り・書き取りの訓練に取り組むとよい。次のシリーズ(エディション・フランセーズ、全編CD付-中級編・上級編はCD2枚)を推薦する。仏検対策用に出版されているシリーズだが、聞き取り・書き取りの訓練にはちょうどよい。中級編・上級編のテキストが聞き取れるところまでくれば、仕事に使えるレベルの力が身についたと考えてよいだろう。
予算が限られている人には次の選択肢もある。
フランスのテレビ・ラジオニュースや詩の朗読など、実際にフランス語を聞くことができるサイトが、インターネット上にはいろいろとある。
まずは「戸口おすすめサイト」のフランス語のラジオ・テレビニュースからどうぞ。
実は聞き取りが一番難しい。語彙力、文法・読解力、さらに語られている事柄に関する知識の裏付けがないと、正確に聞き取ることができないからだ。語彙力、文法・読解力を身につけるには続けて以下を見てほしい。
単語を知らなければ、聞く・話す・読む・書くのどれもできない。語彙力をつける/どのくらい力がついたかチェックするためには単語集が有効である。たとえば次のように段階をふんでいく方法がある。
あるいは最初に次の本を使い、その後で上に紹介した『フランス文化を理解するための語彙集』(5000語レベル)に移るという選択肢もある。
単語には、基本的な意味だけでなく、その意味を拡大した使い方がある。辞書を丁寧に「読む」こと、とくに例文をしっかり確認しながら、単語の意味の「ひろがり」や「使い方」を確かめる習慣を身につけてほしい。
とくに初心者に注意してもらいたいのは語順である。どんな言語にも単語があるが、単語の並べ方、組み立て方は言語によってそれぞれ違う。そのことをしっかり理解するための第一歩として、まずは語順に注意というわけである。いつまでたっても日本語の語順が抜けないようでは、先には進めない。
語順に注意しながら、フランス語のしくみを理解していこう。名詞・形容詞の性と数、動詞の変化などのほかに、単語をどう組み立てて文を作るのか、どの単語からどの単語までがひとまとまりの意味グループを作っているのかを知ること(構文把握)がとくに大切。文法をきっちり勉強し、読む力、書く力を身につけていくとき、はじめて中級・上級へと進む道が開けてくる。
以下にあげたのはほんの一例。自分の好みにあったものを一つ。授業の進度にあわせて基礎から順を追って勉強できるものと、簡単な文法事典として使うもの(授業の進み方とは必ずしも一致しない)の二種類ある。ほとんどは授業の進度にあわせものである。
構文把握にポイントを置いた入門書。まず第一にこの本を推薦する。CDも大いに活用してほしい。詳しくは書評をどうぞ。
授業の進度にあわせて。文法のポイントの説明が丁寧で、練習問題にも詳しい解説ついているので、自習用参考書として使いやすい。
「テーブル式」というのは表の形にまとめてあるということ。左側のページが表になっていて、右側のページで解説という、2ページ見開きの形式になっている。どういうことを調べたいかがはっきりしているときは、非常に見やすい。
品詞を中心に分類・整理されていて、初級用文法事典としても使える。
これを使って基礎固めができたら、中級用の『テーブル式フランス語便覧』に移るとよい。ネット書店ではまだ入手可能なようである。
授業の進度にあわせて。
授業の進度にあわせて。
後半の第2部は必読。フランス語の考え方が実に要領よく説明されている。
なお、文法に限らず、もっと幅広く勉強したいという人には『コレクション・フランス語』シリーズ(白水社)を薦める。ただし、並べて飾っておくだけでは意味がないから、手に入れた以上は全部を使いこなすことだ。全巻CD付なので、耳の訓練もできる。
1年の後半から2年にかけて必要になる。特に活用形から不定詞を探し出すためのインデックスは役に立つ。
参考書ではなく、インターネットのサイトで、白石樹人さんのプログラム。不定詞からの検索も、活用形からの検索も可能です。フランス語学習者が最初に苦労するのが動詞の活用だろう。今、ネットワークPCでこの画面を見ながら活用を確認をしたいという人には、まさに「強い味方」になるにちがいない。
「アクセント」「アルファベット」「一致」から「目的補語」「リエゾン」「話法」まで、アイウエオ準に分類された文法事項が104項目が、それぞれ見開き2ページでまとめられている。サイズは新書程度(新書と較べてやや縦長で、少し厚め)と小さいが、よくまとまっている。1年の終わりごろに手に入れて、いつも持ち歩いて使うと良い。また、2年目、3年目に文法をまとめて復習するためにも利用できる。
「テーブル式」というのは表の形にまとめてあるということ。左側のページが表になっていて、右側のページで解説という、2ページ見開きの形式になっている。どういうことを調べたいかがはっきりしているときは、非常に見やすい。
品詞を中心に分類・整理されていて、文法事典としても十分使える。
また、文法用語がフランス語でもしっかり書き添えられているので、フランスでの研修や留学に持ってゆくと便利(文法の解説も、当然のことだが、フランスではすべてフランス語でなされるのだ)。ただ、残念なことに、絶版となっている。
「テーブル式」が好みでない人は、こちらがよいだろう。量的にも、上の「テーブル式」よりも多い。白水社のホームページでは「フランス文法のすべてを品詞別に詳述、詳細な索引でどんな疑問にも答が見つかる座右の書。構成を一新、詩法とフランス語小史を増補」とコメントされている。
内容説明(出版社のサイトから ― この本の目次も紹介されています)
疑問氷解! フランス文法のすべて
ロングセラー「現代フランス広文典」の改訂版。構成を一新し、文の基本からスタートして品詞別の詳述に移り、豊富な注によって学習者が突き当たる例外についても細大もらさず言及、巻末にフランス詩法とフランス語小史を増補した。
詳細な事項索引と語句索引によって事典機能も備えた本書は文法の奥深さを学び、座右に置いては、あらゆる疑問に答える友となる、入門者から研究者まで本格的フランス語学習に欠かせぬ一冊。【文典=文法を説明した書(広辞苑)】
文法・解釈などの他に、フランス語の背景的な知識も盛り込まれている総合参考書。白水社のホームページには次のようにコメントされている。
「文法・解釈・作文・単語・発音・背景知識と、フランス語の本格的な学習に必要な部門を立体的に網羅した、最高執筆陣による定評の一冊。初学者・独習者は《文法》の熟読により基礎知識を固め、さらに上を目指す者は、思考力を練り、技を磨き、仕組みを学ぶ。改訂版では背景知識の情報を刷新した。」
ただ、初心者にはちょっと難しすぎる。中級から上級レベルの学習者が、ゆっくり時間をかけて、フランス語の仕組みをよく理解しようとするときに使うとよい本である。
内容説明(出版社のサイトから ― この本の目次や「はじめに」、第1課「パンはどこにある? ― 冠詞は何の役に立つのか」も紹介されています)
無味乾燥に見える文法の中には、実はコトバの働きを支える「しくみ」が潜んでいます。その「しくみ」を掘り起こし、意識することで、フランス語らしい表現ができるようになります。
内容説明(出版社のサイトから ― この本の目次、「はじめに」、第2課「先生に話すのにtuで大丈夫? ― 聞き手との関係を示す代名詞」も紹介されています)
日本語と同じように、フランス語でも場面や人間関係に応じて表現が異なります。ことばづかいの陰に文法あり。フランス語で自分の意思をうまく伝える感覚を磨いていきます。
内容説明(出版社のサイトから ― この本の目次、「はじめに」、第2課「隠れた否定から条件法へ ― 条件法の根幹には否定がある」も紹介されています)
単語の意味がわかっただけで、会話や文章を「理解している」と思っていませんか。見逃しがちなポイントを示しながら、相手の意図を正しくよみとく力をつちかいます。
内容説明(出版社のサイトから ― この本の目次や第3課「半過去をめぐる謎」も紹介されています)
フランス語のしくみを新たな面からとらえる
なぜこんなに時制の種類が多いのか。フランス語話者はどう使い分けているのか。英語や日本語と比較しつつ、時制のしくみをつかむ。
なぜこんなにたくさんの時制があるのか
フランス語を学習していて驚くことのひとつは、時制の多さではないでしょうか。それぞれの時制に人称ごとの活用があるのですから、覚えるのもたいへんです。なぜこんなにたくさんの時制があるのでしょうか。特に過去形の種類が多いのはなぜでしょうか。これらの時制を、フランス語話者はどのように使い分けているのでしょうか。小説や日常会話から引いた実例をもとに、「どうしてこの時制になるの?」という謎を解きながら、フランス語のしくみをつかんでいきます。
内容説明(出版社のサイトから ― この本の目次や第1課「叙法とその周辺」も紹介されています)
直説法と接続法は、どこが違うのか
叙法とは、直説法・条件法・接続法・命令法など「述べかた」のことです。「述べかた」が変わると、なにが変わるのでしょうか。日本人学習者は、Il faut que je parte.のような接続法を使うよりも、Il faut partir.のように不定法を使ったほうが簡単だ、と思いがちです。しかし、フランス語母語話者の子どもたちが先に覚える言いかたは、接続法のほうなのです。とかく難しいと思われがちな「叙法」について、わかりやすくときほぐします。
文法というより語法・表現を解説した本。たとえば quelques と plusieurs はどう違う(本書 p.12-13 参照)とか、bien をつけるとかえって意味が弱まることもある(p.154-155、203-204)などといったことは、うっかり間違ってしまいそうで、しかも辞書を調べるだけではなかなか気が付かないことである。この本を読めば、フランス語の意味とニュアンスにも敏感になるだろう。
1年で初級文法を終えても、なかなか読んだり書いたりできるようにはならない。2年から3年にかけて、いろいろな文章を読みながら中級レベルの文法を勉強し、同時にフランス語のさまざまな語法・表現に接してゆくうちに、フランス語も身についてくるというものである。
1年が終わった春休みあたりから読み始めると良い。
「冠詞,動詞,時制,叙法,文構造,文接続など,中上級へのレベルアップに必要な文法知識を簡潔に解説!」(出版社のサイトでの紹介 ― 目次も掲載されている)。また、出版社からもらったチラシには、こんなふうに本の一部を具体的に抜き出して紹介している。
voiture de l'enfant と voiture d'enfant,本物の車はどっち?ざっと目を通してみたが、読み物としても面白い本と言ってよいだろう。。
この2つの表現はどう違うのだろうか.結論から言うと,《voiture de l'enfant》は「子供の(所有する)車」《voiture d'enfant》は「おもちゃ(子供用)の車」という意味である.つまり,本物の車は前者ということになる.なぜそのようになるのか....(続きは本書p. 40をご覧ください.)
なかなか良くできた中級文法参考書だったのだが、現在は絶版。ただし、本学ライブラリーにおいてあるので、参照は可能。とくに第2部の、a, autre, comme...など、中級から上級レベルのテキストを読むとき注意しなければいけない重要単語の解説は、何度も読み返して頭に入れておくべきものである。
留学する人に薦めます。フランス滞在中は、フランス語で書かれた文法書も必要でしょう。フランスに着いて、留学生活が始まったら、その町の書店に注文するとよいでしょう(店頭には置いてありません!)。クレジットカードがあれば、 fnac や Amazon.fr でネット注文するのが手っ取り早いです。
ただし、フランス語だけを使って学ぶのには限界があります。日本語で書かれたしっかりした文法参考書も持って行って、両方を付き合わせながら文法の勉強をしてください。
1955年に初版が刊行されてから半世紀近くたって改訂版が出された。
文法事典の決定版。中・上級者向き。フランス語で専門的な仕事をしようという人は必携。
以下の4冊(ただし4番目の『フランス文法論 - 探索とエッセー』はエッセーのみ)をまとめたもの。フランス語の用法について、さらに詳しく教えてくれる。『新フランス文法事典』とあわせて、フランス語上級者必携。
- 朝倉季雄『フランス文法覚え書』白水社、1967年、2621円。
白水社ホームページのコメントを紹介するのが手っ取り早いだろう。(以下の2冊についても同じ。) 「著者の多年の研究成果のうち、品詞の機能、性の文体的用法と男性・女性の対立の消失、数の形態と数量の概念に関する30編を選んだ。日常ひんぱんに見られる構文に問題点を見い出し、他の文法書では扱わなかった分野を深く掘り下げている。フランス語の学習者・研究者に新鮮な視点を示唆する。」
- 朝倉季雄『フランス文法ノート - 基本語の用法』白水社、1981年、2621円。
「初級学習者もおなじみの基本語・基本構文30編をとりあげ、それぞれが文章の中でどのような制限規則を受けて使われているかを詳述。おびただしい実例からは作品のエッセンスがほとばしり、語学書なのに、詩を読むようなみずみずしさがある。研究者はもとより、初級を終えた学習者に強く勧める。」
- 朝倉季雄『フランス文法メモ - 基本語の用法』白水社、1984年、2500円。
「『フランス文法ノート』の続編。初級文法に出てくる基本語・基本構文には、規範文典からはみ出した様々な盲点がある。最新の小説や戯曲から採集した多数の実例と、インフォーマントの回答に基づき、現用フランス語の実際を示す。辞典・文法書の欠落を補う、生きたフランス語理解のための101章。」
- 朝倉季雄『フランス文法論 - 探索とエッセー』白水社、1988年、3296円。
上の3冊のいわば続編にあたる文法ノート10編と、著者の回想的エッセー4編を収めたもの。
フランス語の統辞法を考える上では必読書。ながらく品切れだったが、最近新装版となって再版された。ただし、「在庫僅少」なので、早めに注文しておくことだ。白水社HPでは以下のように紹介されている。
わずかな言語表現の差違が生み出す意味の違いを知ることは、文学・思想の深い理解のためには欠かせない。本書はフランス文の構造を精緻に分析し、読者を初級・中級から上級へと導く。
「おおまかな読み」から「精緻な読解」へ!
待たれて久しい名著の復刊。「僅かの言語表現の差違から感得され得る意味の違いは、文芸作品を読むときにも、理論的文章を読むときにも、文の構造を平生から適確につかむ習練を積むことによって可能になる。ここに『フランス語統辞法』を刊行するのは、入門期の文法を終えた学習者にフランスの文学・思想へさらに深く踏みこんでいただきたいとの願いからである」(「まえがき」より)。中級から上級を目指すならば、本書は欠かすことができないだろう。
約900ページの大著である。この分野の本格的文献としては最新の書でもある。
<TRC新刊書籍検索>の紹介には次のように書かれている。
「名詞、冠詞、形容詞、代名詞、動詞などの各品詞ごとに、語の機能と形態を詳細に検証し、フランス語の歴史的発展や周辺諸語との対比などを視野に入れつつ、フランス語文法を統合的に解説する。」
白水社HPでは以下のように紹介されている。
かつて「現代フランス文法」の名で愛された究極の文法書を、「大全」と改題して復刊。圧倒的な文例・用例の多さと「通俗」を目指したという著者の解説は、まさにその名に相応しい。
調べてもよし、通読してもよし。これぞ大全!
最も詳しい文法書として愛用された「現代フランス文法」の改題新装復刊。「第1部 発音、綴字、音節、符号」「第2部 文の諸要素」「第3部 品詞」「第4部 統辞法」「第5部 従属節」の全5部構成。各部とも「なるべく通俗的になろうとした」という著者の意図のもと、文法理論に深入りすることなく、「読みものとしての好ましさ」が加味されている。フランス語の全体像を捉えたいという人々には格好の導きとなるに違いなく、まさに「大全」の名に相応しい。
冠詞論としては古典的名著と言って良いだろう。白水社HPでは以下のように紹介されている。
入門段階でまず学ぶ文法事項でありながら、上級者でも判断に苦しむ冠詞の用法を、豊富な具体例に基づきながら平易明快な文章で分析し、フランス的精神の解読に挑んだ画期的名著。
仏検5級から1級まで、フランス語関係の出版社から、ガイドブックや参考書が出版されています。
以下のサイトも見てください。
「仏検」(文部科学省認定実用フランス語検定試験)の情報はこちら。
内容説明(出版社のサイトより ― 本の目次と内容の一部が紹介されています。このページから音声をダウンロードすることができます。
フランス語留学の心強い味方!
パリでのホームステイ&留学を想定し、さまざまな場面で役立つ文例を満載。音声は無料でダウンロードできます。最新情報を盛り込んだ資料集は強い味方。準備万端で出発しましょう!
「フランス語留学をしてみたい」と思い立ったら、まずはこの一冊。「フランスでの生活編」には、滞在中に想定される20の場面の会話に加え、生活事情、よく使う表現や単語がまとめてあります。「日本についての質問に答える」の章とともに、全例文の音声は無料でダウンロードできます。ジャンル別の「項目別語彙集」、出発前の準備や滞在中に役立つ情報を紹介する「必携資料集」は心強い味方。準備万端で出発しましょう!
出版社のサイトでこの本の内容説明があります。
出版社のサイトでこの本の内容説明があります。
ビジネス・貿易実務で使うフランス語の参考書は「時事・経済・商業フランス語」の項目参照。
動詞の「法」と「時制」について、また構文について、詳しく解説されている(動詞と構文については、中級文法の参考書としても使える)。「解釈」の例文も「読解」の実践編も文学作品の抜粋が主になっている。文学的フランス語の読解と訳し方の訓練にもなる。1年終わりの春休みから使いはじめるとよい。
こちらは、例文はむしろ日常生活の様々な場面で目にするような文章、時事的・実務的なフランス語が中心となっている。フランスで生活するときに役に立つ情報もたくさん収められている。読み物としても、結構楽しめる。
文学作品をフランス語で読む訓練。2年目から3年目にかけて。
フランス語の読解力をつけるために。
amazon では「出版社からのコメント」として以下のように紹介されている。
かつて<フランス語学文庫>の一冊として、「フランス文を正しく読み、正しく理解し、必要に応じてこれを適切な日本語にうつす」能力の開発を目標に編まれ、多くの学習者に親しまれた名著「解釈法」を、文字を大きく全面新組にして復刊。第1部基礎編では人間の思考・感情を8つの形式に分類してそれぞれに対応するフランス語特有の表現形態を分析し、19、20世紀の文学作品から引いた例を付す。第2部応用編では、その知識を用い、名作の抜粋を詳細な注によって味読する。
フランス語を正確読んできっちりと訳すためには、文法、語法など、どういったところに注意しなければならないかを具体的に解説した好著。たとえば名詞の訳し方(これが実際には難しいのだ!)から微妙なレトリックのとらえ方まで、例文も豊富である。仏文和訳から本格的な翻訳へとすすもうという人は必読。
辞書で単語の意味を引けば講読の予習は終わったと信じ込んでいる無邪気な学生には、この本の価値はついにわからないだろうか?
フランス語の文章をどう日本語に訳すか、技術的なアドバイスというだけでなく、日仏両言語の違いについても十分考えさせてくれる好著。文法の仕上げにも使える。中級から上級を目指す人は必読。フランス語を使って仕事をしようと思うなら、必ず持っていなくては。
バベル・プレスで出版された初版だけでなく、ちくま学芸文庫版もあります。好きな方を選んでください。
まずはこの本を推薦する。和文仏訳というよりは、フランス語で書くことに重点をおいた本。日本語とフランス語の発想の違いについてもていねいに解説している。第1章の「フランス語で書く際の心構え」からゆっくりと読んでゆくとよい。
地理、歴史、経済、教育など、トピックごとに例文を示しながら解説したもの。2年生でも使えないことはないが、3年生ぐらいが無理のないところか。
前半の第1部「仏作文の考え方」は和文仏訳の参考書という体裁を取っているが、解説が非常にていねいなので、初級文法を終えた後、仏文法の基本をしっかりマスターするためにも役立つ本。後半第2部の「フランス語の考え方」はフランス語的なものの見方、考え方を、単語レベル、構文レベルから具体的に具体的に解説したもので、フランス語がどういう言語かを教えてくれる好著である。一度はぜひ読んでおきたい本。
政治、経済、社会などの時事問題を扱った文章をフランス語に訳す、あるいはフランス語で書くという時には、まっさきに参考にすべき本。中級から上級レベルを目指す人、とくにフランス語を使って仕事をしようと思うなら、必ず持っていなくては。
上に同じ。
上に同じ。
上に同じ。
高価だが、仕事でフランス語を使う人には必要。
出版社のサイトでは次のように紹介されている。「マーケティング・信用調査・引合い・信用状・売買契約・積出し・決済・クレームまで、貿易実務のあらゆる場面に応用可能な例文集。巻末には便利な語彙・表現集(仏和・和仏)付。」
出版社のサイトでは次のように紹介されている。「経済、金融、財務、産業、企業、貿易など、フランス語圏の国々とのビジネスに欠かせない最新2800単語を網羅。豊富な用例は、すべて仏英日で表記。巻末に日本語索引つき。」
出版社のサイトでは次のように紹介されている。「英米とは一線を画するフランスのメディアを読み解くための絶好の手引。ル・モンド紙、レクスプレス誌から、今日的・世界的テーマの8編を収録。語法・文化両面から精緻な注釈を付す。」
フランス語とはどういう言語かを、主として文法的な観点から知るためにはこの本を読むといい。特に、大橋保夫氏による第1部第2章「フランス語とはどういう言語か」、同第3章「フランス語は明晰な言語か?」は必読。
以前白水社からでていた『ことばの背景 - 単語から見たフランス文化史』と『危ない話 - 続ことばの背景』をまとめなおしたもの。フランス語、フランス文化についてもっと深く知りたい人のために。
フランス語の冠詞の使い方は複雑かつ微妙です。中級から上級レベルを目指す人は、必ず勉強しておいてください。
著者自身による前書きは次のようにはじまります。
「フランス語のように長い文化的伝統をもつ言語には、日本・日本語にない者や観念を表す名詞が数多くあります。そのため、学習が進むに従って、ニュアンスどころか本当には意味も分かっていない名詞が増えてくるはずです。(・・・)」
実際に、学生に教えているとよく分かるのですが、名詞の意味や使い方をきちんと把握していないために、フランス語のテキストを読んでもさっぱり意味が分からない状態におちいるケースがしばしばあります。名詞の克服、大事です。
フランス語は名詞中心の構文を好む言語です。名詞の克服にはこの本も薦めます。