紙の辞書 それとも 電子辞書?


紙の辞書 VS 電子辞書:それぞれの利点と欠点

紙の辞書

電子辞書

教師の立場から

教師としては、とくに初心者には、紙の辞書を強く薦めたいところだ。
一覧性の悪さ、語法・用例の調べにくさは、学習上、大きなマイナスであるからだ。

しかし、留学を考えている人には、電子辞書の利点は大きい。留学中には、英語辞典や国語辞典も必要になることがよくある。いや、日本にいるときも実は必要だ。

さらに、これだけ電子辞書が普及していることを考えれば、むしろ電子辞書の便利さを積極的に評価しつつ、その不利な点を克服する賢い使い方を学生に教えることが、いまでは必要なのではないかとも思ったりする。

だから、フランス語をしっかり続けようとするなら、どういう選択をすべきか、アドバイスすることにしよう。

ここではフランス語を専修言語=第1外国語として学ぶ人を対象とする。
第2外国語としてフランス語を学ぶ人は、とりあえず学習仏和辞典のなかから、一番新しく改訂版が出た辞書を選べばよいだろう。

選択肢1:最初は紙の辞書(学習仏和辞典参照)を使い、2年目くらいから電子辞書に切り替える ― 経済的負担は重いが、辞書の使い方になじむにはこの方法がスムーズ。

選択肢2:紙の辞書は買わず、電子辞書だけを使う ― 学習仏和辞典の価格分だけは節約できるが、最初から気合を入れて電子辞書の賢い使い方を覚えないと、いつまでたってもレベルアップできない危険がある。もちろん、紙の辞書だって、いい加減な使い方しかしなければ、結果は同じだが・・・

なお、電子辞書に収録されている『ロワイヤル仏和中辞典 第2版』(紙の辞書は今は絶版もしくは品切れ)だが、第2版は付属のCD-ROMをパソコンのハードディスクにコピーして使うのがもっとも便利な使い方だった。ただしWindows PCのInternet Explorer上でしか使えなかったし、Internet Explorerのサービスが終了したため、今では使い道がなくなってしまった。そのあとを受けてWEBアプリが発売されたわけである。この第2版だが、電子辞書版は正直言ってお勧めできない。『プチ・ロワイヤル』に較べて用例が多い分、かえって一覧性の悪さが邪魔になる。CD-ROM版では「訳語概要」と「詳細表示」の使い分けができるのが便利なのだが、電子辞書版ではその切り替えができず、特に重要な単語だと基本的な意味・訳語・解説・用例が延々と続くので、途中でわけがわからなくなり、いやになってしまうのである。
それと較べれば、『小学館ロベール仏和大辞典』の電子辞書版の方がまだずっと使いやすい。最初の画面は基本的な意味・訳語と解説だけでまとめられており(『ロワイヤル仏和中辞典 第2版』CD-ROM版の「訳語概要」に相当する)、もっと詳しく調べたければそれぞれ訳語・意味の「用例」を選択するようになっている。もちろん使い方を覚える必要があるし、1年目からは無理だろうが、慣れればこちらの方がずっと使いでがあると言えるだろう。

選択肢3:『ロワイヤル仏和中辞典 第2版』(紙の辞書 - 今は絶版もしくは品切れ)を中古で手に入れ、これを使いこなす。安い中古品が見つかるなら、経済的負担は最も軽い方法となる。
自由に使えるPCがあり、ネット環境も(自宅でも大学・職場でも)整っている人なら、『ロワイヤル仏和中辞典[第2版]WEBアプリ』を使うという選択肢もありうるが、ネットでしか使えないのが欠点。
いずれの場合も、あとから別の紙の辞書や電子辞書を買うことになるなら、経済的には引き合わないことになるので、要注意。
なお、『ロワイヤル仏和中辞典[第2版]WEBアプリ』については「フランス語学習者のための参考図書」→ 仏和中辞典 を参照のこと。