大学生になったら必ずレポートや論文は書かされるが、大学を卒業した後も、企業・官公庁・その他様々な組織や機関で責任のある仕事をしようと思ったら、報告書・企画書・調査研究レポートなど(つまりはレポート・論文)を書けないとどうにもならない。大学にいる間に、レポート・論文の書き方をしっかり身につけておかなければ。
インターネット上では、まず次の2つのサイトを推薦します。
・小論文・レポートの書き方
まず「論文の構造」「小論文とパラグラフ・ライティング」をしっかり読んでから、次に進んでください。
・レポート・卒業論文の書き方(早稲田大学政治経済学術院 須賀晃一先生のサイト)
とくに最初の「第Ⅰ部 レポート・卒業論文の書き方」を熟読してください。
卒業論文を書く人は「第Ⅱ部 卒業論文の書き方」「第Ⅲ部 卒業論文作成時の手引き」もどうぞ。
戸口ホームページのレポート・論文の書き方もあわせて見ておいてください。
しかし、どうアイデアを整理したらよいのか、そこがなかなか難しい。
そんなときに役に立つのが「マインドマップ」というツールです。アイデアをまとめる方法として使えるだけでなく、フローチャートやアウトライン作りにも便利につかえます。「学生に推薦するフリーソフト」のなかの「レポート作成ツール -- アイデアをまとめるためのソフト」を見てください。
レポート/論文のような「仕事の文章」を書くための文章技術の基本として「パラグラフ・ライティング」がある。欧米とくにアメリカで普及しているものだ。
仕事の文章の基本は、しっかりとしたパラグラフを書くことから始まる。それを知らなけらば、いくらレポート/論文の書き方・組み立て方を学んでも、論理的な文章を書くことはできない。パラグラフ・ライティングの技術を身につけると、アイデアを整理し、論理的に - 読む人にもわかりやすく - 要点を伝えることができるようになる。
まずは『週刊東洋経済』2012.12.22.に掲載された書評をみてみよう。
書評にもあるように、「パラグラフ・ライティングの習得法をビジネス文書に適用した」例文が--随所で良い例と悪い例の両方を対比させながら--豊富にあげられているから、何をどうすればよいか、どこがポイントか、などということがよく分かる。手に入れて読んでみることを強く薦める。
受験対策で小論文の勉強をした人もいるだろうが、小論文はレポート、論文など、仕事の文章を書くための基本である。高校時代に訓練をした人には復習の意味で、あいにくその経験のない人は今から勉強する気持ちで、次の本を読んで(読み直して)みるとよいだろう。
次におすすめする2冊は全く対照的な立場から書かれた、(主として)大学受験対策のための小論文参考書だが、大学在学中も卒業後も大いに役に立つ本だと思う。面倒がらずに両方とも読み、それぞれの著者のアドバイスを受けとめた上で、自分にあった方法を身につけていってもらいたい。
本の帯には「受験小論文の神様」がテクニックを大公開!とあり、タイトルとあわせて見ると「過剰広告」のような感じがするが、内容は非常にしっかりしている。
まずは小論文の「型」をおぼえることに焦点を絞り、とにかく型に合わせて自分でも書いてみるよう促しているところは、非常に実践的(かつ実戦的)だ。
「文は人なり」ではない、「ありのままに書け」でも「自分の言葉で書け」でもない、文章とは「自己演出」だ。だから、どう書いたらよい点数が取れるか、どう表現したら自分をアピールしてできるか、まずはそのテクニックを徹底的に教えてあげるから、君もしっかり身につけてくれよ ― というのが著者の基本姿勢である。
これは芝居心にも通じることで、演劇を専門分野にしている私にはとてもよくわかる。自己を表現したいとおもったら、まずは「自己」を演じてみようではないか、と私も言いたところだ。
ついでに言えば、これは外国語の学習にも通じることである。外国語を身につけようと思ったら、その言葉で「演技する」ことを心がけたらよいだろう。
『ホンモノの文章力』のいわば姉妹編に当たるのが次の本。フランス式論理入門というふうに読むこともできるので、あわせて読むと良い。
樋口裕一が「実戦的演技派」だとすれば、こちらはむしろ「哲学的実践派」と言えるだろう。
論文には「正解」はない。(・・・)論文とは一人一人が考えてゆく作業そのものであり、また考えてゆくプロセスを他者に向かって提示することであって、どこかに模範があるのでもない。そして、書くことの原動力となるのは、自分で発見したり納得したりすることの悦びと自由の感覚なのである。小論文は「自分の生き方や社会の在り方についてあらためて考えてみる」ための手がかりとなるものであり、「この本が狙いとしたのは、試験のための小手先のテクニックを教えることではなく、あくまでも入試問題を素材として思考と書き方を訓練すること」というのが著者たちの基本姿勢である。何のために論文を書くのか、じょうずに「考える」ためにはどうしたらよいか、論文を書くことを通じて自分は何を見いだすのか、というような問いを、この本を通じて自分自身に問いかけてほしいと思う。
大学で何を学ぶかと言えば、それは「考えるための方法」と「調査・研究の技術」につきるだろう。レポート・論文は、そのために必要不可欠な訓練の手段である。
レポート・論文の書き方の入門書は数多いが、1冊ですべてを満足させてくれる本はない。論文を書く技術を身につけるためには、何冊か読んで必要な知識・情報を補っておいた方がよいだろう。
論文の書き方の参考書はいろいろとあるが、1冊選ぶとしたらこの本。コンパクトな割には明快かつ実際的。ここで具体的に示されている基本的な「型」や「ルール」は、大学生のレポートから本格的な研究論文までカバーするものである。本書の最後に実例として収録された論文は、専門レベルの論文がどのようなものであるかを具体的に知る上でも役に立つ。
まともなレポートを書きたければ、「事実」と「意見」の区別ぐらいは知っておかねばならない。「主題」の決め方、「パラグラフ」の考え方など、学生だけでなく教師にとっても大変参考になる。理科系だけでなく文科系の学生・教師・一般社会人にも大変参考になる文章技術入門書。発売以来、増刷・再版を重ね、累計100万部を超えた今も読み続けられているベストセラーである。
上に紹介した『理科系の作文技術』の後に書かれた本。大学・短大で文章技術の教科書・副読本として使うのに向いている。実例・参考例がいろいろと紹介されているので、それを丹念に読むと良い。文章を書きレポートにまとめる際に、どういった点に注意すればよいかを具体的に知るためには、これらの実例がヒントや手がかりになるからである。
130ページ弱という限られた枚数(しかも行間や余白をかなり贅沢にとったページレイアウト)のなかで、レポート・論文の書き方を説明している。これなら学生諸君も、量の多さにうんざりしないで、全部を読み通すことができるだろう。
この本の第一の特徴は「形式」へのこだわりにある。実際に、学生諸君にまず覚えてもらいたいのは、レポート・論文にははっきりした「形式」があるということだ。形式を覚えればレポート・論文がとりあえずは書けるようになる、ということでもある。第二の特徴(そしてこの本独自のもの)は「テキスト批評」を具体的に紹介している点にある。論文を書く前の訓練としてとらえると、確かにこの方法は実践的かつ有効である。そして第三の特徴は、引用の仕方、注の付け方、参考文献表の作り方について、他の類書よりもずっと具体的に説明されていることである。この3点だけでも一読の価値は十分にある本と言えるだろう。
ビジネス系のレポート・小論文参考書を1冊推薦するならこれ。例文やアドバイスも、すでに実務に就いているビジネスマンが接する(読んだり書いたりする)であろう文章を念頭に置いて選んである。
ビジネスマンだけでなく、学生が授業のレポートを書くための参考書としても使える。とくにビジネスマンにやがてなるはずの学生諸君には、一読をすすめたい。
レポート/小論文の書き方だけをいくら勉強しても、実際には良いものは書けない。ものの見方・考え方についても訓練する必要がある。
常識的なものの見方、先入観にとらえられたものの見方しかできなければ、良いレポートや論文は書けない。しかし、さまざまな角度からものを見たり、考えたりすることができるようになるためには、知的訓練が必要である。この本を読んで「複眼」的にものを見る眼を養おう。
大学生活の締めくくりは卒業論文であるから、とりあえずはそのあたりを最初のゴールにしよう。もちろん、その先は終わりがない。
論文とは「問い」に対して明確な答えを主張し、その主張を論証するための文章である。作文の苦手な大学生「作文ヘタ夫」を相手に、戸田山先生が論文の書き方を指導するという体裁を取りながら、学生が読むに耐える論文を何とか仕上げるまでをたどってゆく。学生の名前のつけかたにも見られるように、意図的に「おふざけ」調の文体を採用しているが、内容は具体的かつ実践的。論理的に文章を書くためのノウハウ、説得力を高めるための方法、論証のテクニック、自説を補強するための反論のしかたなど、いずれも丁寧に解説されている。とくに論文のアウトラインの作り方を丁寧に紹介しているところは再読、三読にも値する。
「──論文というのは、自分の頭でものを考えるために長い年月にわたって練り上げられた古典的な形式なので、ビジネスだろうと政治だろうと、なんにでも応用がきくのです。優れた論文作成能力を獲得している人は、優秀な学者になれるばかりか、優秀なビジネスマンにも、優秀な政治家にもなることができるのです。(・・・)というわけで、本書はたんなる『論文の書き方』を超えた、ビジネスその他にも応用可能な汎用性を目指しています。」(「あとがき」より)
ここで解説されている問題の立て方、資料の集め方、論文の組み立て方(序論、本論、結論の書き方)などは、卒論を書くときにもそのまま応用できる。
学術系の参考書を1冊推薦するならこれ。レポート・小論文のための参考書としても使えるが、むしろ本格的な論文を書くための入門書と考えた方がよい。
澤田昭夫氏は歴史の専門家なので、例としてあげられているテーマなども歴史関係からとられたものが多い。歴史を専攻する学生、歴史が好きな学生には特におすすめである。
少し難しいかもしれないが、本格的な論文を書こうと思ったら、大変参考になる。なお、随所にエコ先生の皮肉とユーモアがたっぷりきいていて、読み物としてもなかなか面白い。
日本語がなっていなければ、まともな論文も書けない。文章のセンスを養うには良書を多数読むしかないが、レトリックについて学んでおくと言葉に対する認識がもう少し深まるはず。
さらにレベル・アップをという人のために。
言葉では到底表現できないような「思い」「イメージ」「体験」を、それでもなお表現しようとしたら、一体どんな言葉でもって表現するのか? 芥川、太宰、川端など、日本人なら誰でも知っている作家達の文章を例にあげながら、レトリックについて解説しつつ、あわせて人間と言語についても論じている。
ことばに対する認識が深まる本である。
上の本の姉妹編。両方読むとよい。