内容紹介
フランスの近代児童文学の先駆者セギュール夫人(1799-1874)が1859年に発表した作品。主人公は4歳になる女の子ソフィー。怒りん坊で食いしん坊、意地っ張りで見栄っ張り、知りたがり屋で欲しがり屋、わがままで、向こう見ずで、おっちょこちょい。「いいこと」を思いついては実行するのですが、結果はいつも失敗ばかりです。そんな欠点だらけのソフィーですが、可愛らしいところもいっぱいです。優しいいとこのポールがしばしば助けてくれるのもそのせいでしょう。しつけに厳しいママから、ときにはほめられることも。さあ、ソフィーの数々の失敗の物語、読んでみてください。 フランスでは今もよく読まれている物語(8歳から12歳向け)で、映画やアニメにもなっています。 この翻訳では、以下のように、漢字にはすべてふりがなが付いていますから、小学3~4年生くらいから読むことができます。
読む前に
このお話はフランスで1859年に出版されました。いまから百五十年以上も前のことで、日本で言えば江戸時代がもうじき終わろうとしているころのことです。時代も国も違うお話なので、読んでいて戸惑うことがあるかもしれません。でも、気にしないで読み進んでください。
物語の舞台となるソフィーの「家」は、フランスでは「城」(シャトー)と呼ばれる立派なお屋敷です。日本のお城とは姿も形も全く違っています。このお話の作者セギュール夫人はフランス・ノルマンディー地方にヌエット城を所有していました。下の写真がそれです。日本の城とはずいぶん違いますね。城(シャトー)には素敵な庭園があり、大勢の使用人がいて、周囲には畑や森や野原があります。フランスと日本では、森や野原の風景はずいぶん違いますが、それも気にせずに、想像力を思い切り働かせながら楽しんでください。
わたしの孫娘
エリザベット・フレノーに
あなたはわたしに、わたしおばあさまが大好き、とっても善い人ですもの、と言ってくれます。でもね、おばあさまはむかしから善い人だったわけではありません。おばあさまみたいに、むかしは悪い子だったけれど、善くなろうとがんばった子どもはたくさんいるのです。これは、おばあさまがよく知っている女の子のおはなしで、ほんとうにあったことです。その子は怒りん坊でしたが、やさしくなりました。食いしん坊でしたけれども、ひかえめになりました。嘘つきでしたけれども、正直になりました。人のものを取ったりしましたが、そんなことはしなくなりました。つまりその子は、悪い子だったのですけれど、善い人になったのです。おばあさまも、同じようにがんばりました。だから、子どもたち、おばあさまをみならってくださいね。あなたたちにはやさしいことでしょう。あなたたちは、ソフィーみたいな欠点だらけの子ではないのですから。
セギュール伯爵夫人、
旧
姓ロストプシーヌ
目 次
1 ろう人形
2 お葬式
3 石灰
4 小さな魚
5 黒いひよこ
6 ミツバチ
7 濡れた髪
8 眉毛を切る
9 馬のパン
10 クリームと焼きたてのパン
11 リス
12 お茶
13 オオカミ
14 頬のひっかき傷
15 エリザベット
16 果物の砂糖漬け
17 猫とウソ
18 裁縫箱
19 ロバ
20 ロバと小さな車
21 カメ
22 出発
挿絵はこの本が最初に出版されたときのものです。