2019.6.18. 改訂
入門書をいくつか。ただし、フランスのことしか知らないというのでは不十分。ヨーロッパの中でのフランスという広い視野から見ておく必要がある。
フランス史はまずこの本からに入るとよい。伝統的なスタイルの、しかも一人の筆者による通史であるのが特徴。当初は外国人学習者向けに書かれたようだが(外国人にわかりやすい本格的な通史がなかったのだ!)、今ではフランスでもよく読まれる定番のフランス史となっている。
詳しくは講談社サイトの内容紹介をどうぞ。
新書版ではあるが、コンパクトにフランスの歴史をまとめている。値段も学生が買うには無理がない。岩波書店のWebサイトでは以下のように紹介されている。
激動の軌跡を、グローバルな視点からたどる
フランスというと、日本では「自由・平等の国」、革命によって民主主義的な国民国家をつくった国、というイメージが強いのではないでしょうか。本書を読むと、その歩みは、フランス革命以降も「自由」「平等」という二つの相矛盾する理念の相克に悩みつつ共和主義への道を模索してきた、文字通り激動の歴史であったということがよくわかります。
また、「国民国家」という枠組が再検討されつつある今、「ヨーロッパ地域世界」の中でのフランスの位置づけも、従来の一国史的枠組をこえる視点から見ることが必要とされています。本書ではフランス史研究の第一人者が、長年の研究成果に基づいて、グローバルな視点から斬新なフランス史像を提供します。フランス史という西洋史の一部だけでなく、日本史を理解するうえでも役に立つ一冊です。各講に関連年表付き。
姉妹編として次の2冊がある。できればこれも読んでおきたい。
・近藤和彦『イギリス史10講』岩波新書、2013年、900円+税
・坂井榮八郎『ドイツ史10講』岩波新書、2003年、820円+税
通史だと、現代史が手薄になりやすい。フランス現代史はまずこの本を推薦する。岩波書店のWebサイトでは以下のように紹介されている。
1944年の解放から,「栄光の30年」,五月危機,石油危機,「ミッテランの実験」の挫折,新自由主義,そしてマクロン政権成立──フランスの戦後を通観すると,そこには「分裂と統合の弁証法」というダイナミックなメカニズムがみえてくる.欧州統合の動きにも着目しながら現代フランスの歩みをとらえる通史.
新しい歴史学の方法を取り入れ、社会経済史の観点からの考察にかなりの比重をおいているが、その反面、文学・芸術・思想に関する事柄が割愛されているのが、私には不満である。次に紹介する井上幸治編『フランス史(新版)』もあわせて読むことを勧めたい。
新版と銘打たれているが、実際には1975年に出たもので、1960年代のフランスまでで終わっている。しかし、伝統的な歴史叙述のスタイルで書かれているので、上に紹介した福井憲彦編『フランス史』よりもむしろ読みやすい。現在は絶版で手に入らないが、本学ライブラリーにあるので、それを借りればよい。
なお、付録の「便覧」に収められた貨幣単位、度量衡、暦法は、他の歴史書では調べにくいものなので、今もって十分役に立つ。
長い間、日本語で読める本格的なフランス史の通史が刊行されない状態が続いたが、このほどようやくこの3巻本がでた。フランス史を学ぶ上での基本図書である。各巻の内容は以下の通り。
フランスの歴史を詳しく知りたい人のために。
少しレベルは高いが、この程度は読めなくては。
ヨーロッパを知るにはまずこの本からに入るとよい。「こどもたちの語る」という言葉に騙されてはいけない。大人も ― そしてとくにフランス/ヨーロッパについて学ぶ学生は ― 読んでおくべき本である。新書版ではあるが、コンパクトにヨーロッパの歴史をまとめている。値段も学生が買うには無理がない。本の帯には以下のように紹介されているが、まさにその通りである。
現代フランスを代表する歴史家が、若い世代に贈る、歴史への招待状。ヨーロッパの地理的条件から説き起こし、古代から現在までの重要な出来事、画期的な人物な発明、今につながる大切な思想などを、たくさんのエピソードとともに綴った前半『子どもたちに語るヨーロッパ』と、とくに著者のフィールドである中世史について、知って楽しいさまざまな事柄を、対話形式で自由に語った後半『子どもたちに語る中世』、どちらも歴史を初めて学ぶ人たちによくわかるよう、むずかしい用語や概念を使わず、やさしい口調で説き明かす。中学生から大人まで幅広い読者に歴史の魅力を伝える、とびきりの入門書。
上の本とあわせて読むといい。とくに第二次世界大戦以後、統合に向かってひたすら進んできたヨーロッパの動き、また現在のヨーロッパが直面している課題を知ることができる好著である。ジュニア新書とあなどってはいけない。ル・ゴフ『子どもたちに語るヨーロッパ史』と同様、大人も ― そしてとくにフランス/ヨーロッパについて学ぶ学生は ― 読んでおくべき本である。岩波書店のWebサイトには次のように紹介されている。
ギリシアの経済危機を発端に深刻化するヨーロッパの経済情勢.
厳しい経済格差や文化の違いを乗り越えて統合への努力を続ける欧州の国々はどこへ向かおうとしているのでしょうか.
そもそもヨーロッパとはどのようにしてできあがった地域なのでしょうか?
パリ特派員として長く欧州で取材をしてきた著者が,古代ギリシャから現代までの歴史をたどり,現場体験を交えながら,ヨーロッパの現在と未来を展望します.
国家中心の歴史ではなく、ヨーロッパ全体を見渡す、ヨーロッパ人のためのヨーロッパ史の試み。
ヨーロッパの歴史を知っていれば、ヨーロッパにおけるフランスの位置もよくわかってくる。ぜひ読んでおこう。
ヨーロッパといってもさまざまであることを知らねばならない。精神的、文化的な視点からヨーロッパを理解するために。
放送大学の教科書だが、日本の研究者のほとんどが気づいていない ― したがって従来の類書にはほとんどない ―「普遍的人間教養(パイデイアー、フーマニタース)」という重要な観点から、しかも歴史的構造としてのヨーロッパを論じている。ヨーロッパとは何か、ローマ、キリスト教社会、自然法と法などを論じた章はとくに注目すべきだろう。入門書としても使えるが、内容的には大変レベルが高く、学生にもぜひ読んでもらいたい本である。
(放送大学教材として出版されたものだが、授業内容--および教科書--が変わったため、もう手に入りにくくなっているのが残念。)
世界史は教養の基礎。本学ライブラリーに全巻そろっているので、フランス・ヨーロッパを知ろうとするなら例えば古代ギリシャ・ローマから初めて、中世ヨーロッパ、ルネサンス、近代とたどってゆくとよい。
なお、長崎外大図書館には他の出版社から出された世界の歴史シリーズが他にも何種類かあるので、必要に応じてそのあたりも見ておこう。
いまヨーロッパが直面している危機とはいったいどういうものか、日本や世界への影響は? 現代ヨーロッパが抱える問題をみごとに指摘している本です。ぜひ読んでおきましょう。
書評 『欧州複合危機』/遠藤乾インタビュー
苦悶するEU――統合の必要性とジレンマ 『欧州複合危機』著者、遠藤乾氏インタビュー(SYNODOS 2017.02.14 Tue)
楽しんで読めるフランス・フランス人論。フランス語事始めはまずこの本から。
紀伊國屋書店のWebサイトには次のように紹介してありました。(ただし、今は品切れで手に入りません。図書館で借りて読んでください。)
フランスの文学、政治、経済、宗教、教育など多くの領域を研究するとき、その基盤となる基礎知識に欠けていることに私たちは気づく。またフランスを総合的視野のもとに紹介した書物も少ない。本書はそれらフランス研究の基本的知識を、大学生と一般の読者に平易に提供しようとする画期的な著。
小林先生のこの本もお薦めです。ただしこの本も品切れで、古書店でしか手に入らないかもしれません。本学図書館にはちゃんとありますので、学生は図書館を利用してください。
紀伊國屋書店のWebサイトには次のように紹介してありました。
文化を異にする二つの国民の相互理解を深めることは困難な仕事だが、議論を避けたり誤解を恐れていては、決して真の理解に達することはできない。
第1部 フランスの知恵と発想(広場の思想;社交の楽しみについて;聖徳太子の国とナポレオンの国;自動車の運転と国民性の違い;フランス語会話のよろこびと危険について;国際会議いまむかし;心の中のラ・マルセイエーズ;飛行機の中の日本人とフランス人;パリジェンヌの“神話”;大学の日本的特質―フランスとの比較;ナショナリズムと愛国心)
第2部 ルソー2題(ルソーの作曲;ルソーと「自然にかえれ」について)
個別的な体験だけに物言わす独断的文化評論を避け、日本とフランス両国人の間の差異を、なるべく原理的な物言いで語る、文化批判。語り口は平明、卑近な問題からかなり高度な問題にまで、読者に両国の人間の差異を興味深く示してくれると同時に著者のしたたかな目を感じさせる読み物である。
タイトルは「ふらんすざんまい」と読む。「おふざけ」ムードの文体は著者独特のものだが、内容はもっと真面目。フランス語やフランスという国・文化についての歴史的な背景がよくわかる。机に向かって勉強する姿勢で読むよりは、ソファーにゆっくりと腰掛けて読むほうが似合う本。あるいはもっと自堕落に、寝ころがって読んでもよいだろう。でも、本の中身はちゃんと読み取ってください。
数々のテロ事件を受け、フランスはいま、政治と宗教、共生と分断のはざまで揺れている。国内第二の宗教であるイスラームとの関係をめぐり、二〇一七年大統領選挙の主要争点ともなったライシテとは何か。憲法一条が謳う「ライックな(教育などが宗教から独立している、非宗教的な、世俗の)共和国」は何を擁護しうるのか。伊達聖伸氏の寄稿コラム「フランスのライシテ――複眼的思考の試金石」もどうぞ。
本の「帯」では以下のように内容が紹介されている。
共和国はなぜ十字架を排除したか。日本人にはおそらく理解しにくいこの「ライシテ」という原則は、たしかにフランス「共和国」を理解する鍵の一つであろう。
権力をめぐって対峙するカトリック教会と<共和派>の狭間で、一般市民は、聖職者は、女性たちは何を考え、どう行動したか。『レ・ミゼラブル』などの小説や歴史学文献を読み解きながら、市民社会の成熟してゆくさまを目に見える風景として描き出す。
「ジュール・フェリーをはじめとする第三共和政初期の政治家たちは、教育の現場や国会や地方議会など、公的な場には宗教は介入しないという大原則を確立しないかぎり、ようやく手にした議会政治に基づく共和政の存続すら危ぶまれると考えていた。国家が宗教からの自由を確保するために、国民は宗教活動について一定の制限を課され、ある種の不自由を受けいれることを求められる。これが、第四共和政、第五共和政の憲法にも謳われているライシテ原則である。」(本書「おわりに」より)
自由を求めて不平等になる国と、平等を求めて不自由になる国――どちらが日本でどちらがフランスか、おわかりだろうか? 著者の言葉を紹介しよう。
「21世紀初頭の日本には、事実上、自由主義以外の選択肢が存在しない。程度や視点の違いはあれ、ともかくリベラル(自由主義)こそが民主主義だと言わんばかりの状況なのだ。極めて大雑把に言うならば、われわれの前には、アメリカ型の自由主義とフランス型の平等主義という二つの選択肢が存在する。少なくとも、存在するはずなのである。アメリカ型の自由主義については、その長所も短所も含めて、われわれは多くのことを知っている。だが、フランス型の平等主義に関する知識や情報は、必ずしも十分なものではないと思われる。知らないからこそ、選択肢として意識されないのだ。」(序章より抜粋)
「革新自治体に代表される日本の左派勢力は、『支配階級の上からの政策』対『民衆の下からの要求』という、アメリカ型自由主義に典型的な図式を取り入れてしまった。戦後の日本におけるアメリカからの影響力に加えて、戦時期に民主主義が『上から』弾圧されたという記憶と、『下から』の社会主義革命という思想が混じり合い、何とも珍妙な政策が生まれてしまったようなのである。」(本文より)
文芸春秋社Webサイトでは次のように紹介されている。
グルメとファッションの国、自由・平等・友愛の国──日本人が漠然と憧れをいだきつつ、実はよく分かっていないフランスの人と歴史これを読むだけだと軽薄なフランス紹介のように思ってしまいそうだが、じつはもっとずっと真面目に「なぜ」と問いかけている本である。
エルメス、ルイ・ヴィトン、ロマネ・コンティ、ジョエル・ロブション、サルトル、フーコー……昔も今も、グルメやファッション、さらには学問の世界で日本人の憧れの的であり続けるフランス。でも、テレビの国際ニュースを見ていると、今日もドゴール空港はストで閉鎖だし、農民はマクドナルドの店を壊すし、イスラム教徒が学校でスカーフをかぶっていいかどうかを延々議論していたし、不思議なことばかり。そんなフランスの謎を、気鋭の歴史学者がやさしく、楽しく解き明かします。
まずは著者自身による紹介(=著者のホームページに掲載された文章)をどうぞ。
「日本では『欧米』とひとくくりにされるキリスト教文化圏ですが、本当のところは「欧」と「米英・アングロサクソン」の真っ二つに分かれています。その違いを解説し、アメリカ〈グローバリズム〉に「NO」と言った唯一の国~フランスの政治姿勢をユニヴァーサリズムの視点から分析します。」次の山田文比古氏の本とはアプローチの仕方は異なりますが、これも、フランスとはどういう国かを知るだけでなく、それでは日本はどうなのかと考えさせられる本です。
著者は現役の外交官で、2003年から駐フランス公使を務めている人です。
出版社のHPでは次のように紹介されています。
「米国一極支配に対抗するフランスの秘密とは。GDPでは日本の半分以下のフランスが、自主独立外交を展開し、国際社会で存在感を保ち続ける秘訣はどこにあるのか? 在仏日本大使館公使の経験をもとに解き明かす、知られざるフランス外交の真実。」国際社会におけるフランスの政治・外交戦略を知る上で大変有益であると同時に、日本の政治・外交について考える上でも示唆に富む本です。
「英語とアングロサクソンのメディアの影響力は、グローバリゼーションの進行とともに、ますます大きくなるばかりである。日本もその例に漏れない。イラク問題を巡る報道には、そのことが顕著に現れた。本書では、少なくとも、フランス側から見れば事態は違って見えていた、ということは示し得たと思う。色眼鏡のたとえを読んだとき、大学院時代に指導教授からまさに同じようなことを言われたのを、懐かしく思い出しました。
アングロサクソンであれフランスであれ、どちらも色眼鏡には違いないが、複数の色眼鏡で見れば、少なくとも複眼的かつ立体的なものの見方は可能になる。もちろん、日本独自の眼鏡を持つことが一番重要であることは言うまでもない。そのためには、情報収集力の強化も徹底的に図っていかなければならない。」
著名な憲法学者が、フランスとの出会いからはじめて、デモクラシー、人権、フランス的意味における「共和国」、ヨーロッパ統合とフランスについて語った連続講座をもとにまとめられた本。フランスという国を理解するためだけでなく、国家・法・政治・人間の権利といった重要なテーマについて、また日本のあり方について考える上でも、示唆に富む本である。
出版社のWebサイトでは次のように紹介されている。
「いま、日本人にとってフランスとは何か?」の問いに応えうる現代日本最高のフランス通の著者が、その知識と50年の体験のすべてを語り尽くす。日仏修好150周年記念企画。前半は思い出話が中心で、興味を持てない人はとばしてもよいでしょう。学生諸君に読んでもらいたいのはむしろ後半です。
出版社のWebサイトでは次のように紹介されている。
ファッションやアートで人々を魅了し、国際政治でも米国やロシアといった大国に臆さない。このような世界が憧れる「フランス式」は、「発信力」の強さからきている。前駐仏日本大使が、フランスとの徹底比較から、日本の「国家ブランド」の打ち出し方を提言する。シラク、サルコジの新旧大統領とも親交のあった著者ならではのエピソードも満載。出版社の宣伝文句はともかく、要は「他を知ることを通じて自らを知る」ということであり、「では、何が問題か? 何をどうすればよいか? 何ができるのか?」という意識をもつことである。
この事典を使えば、フランスの関する様々なこと-歴史、地理、法律、経済、教育、学術、etc.-を知ることができる。値段が高いので、図書館で利用すればよい。
ただ、増補改訂版がでてからすでに20年たっているので、その間にいろいろな変化があったことを念頭に置きながら読む必要がある。
内容(「BOOK」データベースより)
なぜフランスは哲学を重視するのか? 原発大国をつくった理工系の実力は? ―ナポレオンが設置したポリテクニクや、東大法学部を凌ぐ官僚輩出校ENAなど「世界最強のエリート養成機関」の実態に迫る。『21世紀の資本』のピケティや、カリスマ経営者ゴーンを生み出す秘密とは?
グラン・ゼコール grandes écoles といってもほとんどの日本人は知らない。直訳すると「大学校」となるが、これはフランス独特の高等教育制度で、フランスの知的・文化的・政治的・社会的エリート養成機関がこのグラン・ゼコールである。本書の内容については吉田書店の「書籍詳細">書籍詳細」をどうぞ。
内容(「BOOK」データベースより)
嫌う人がいてもいいからオリジナルスタイルを貫く方が大切? エリートの方が実は重労働? ブランド力は伝統を重んじるからこそ守れる? 生活の達人フランス人、その仕事とのつきあい方とは。
集英社新書のWebサイトでは以下のように内容が紹介されている。
日本人が漠然とイメージするフランスと、今のフランスの実情は大きくかけ離れている。文化、宗教、民族、地理的背景の異なる大量の移民が流入する現代フランス社会には、複雑でデリケートなたくさんの問題が起きている。数百万人といわれる正式な国籍を持たない移民たちは、どのように暮らしているのか。公立校でのスカーフ着用、一夫多妻制、性器切除などの、移民たちがもたらした非フランス的な習慣は、どのような状況を生みだしているのか。精力的な現地取材に基づいて、荒れる郊外地区、宗教・民族対立、人種差別、極右の台頭など、現代フランス社会が抱える問題を浮き彫りにするとともに、それと闘う人たちの声を紹介する。果たして、今のフランスは「住めば都」といえるだろうか。
著者は1990年から産経新聞パリ支局長としてフランスを「取材」している。この本の帯には次のような宣伝文句が書かれている。
「なぜ、フランスは強いのか。国際社会で独自の地位を堅持するフランス。リーダーになれない日本。ゴーンやトルシエは、私たちとなにが違うのか。」宣伝文句だから刺激的な言葉を使っているが、それはそれでよい。大切なのは、自分を知るためには他を知らねばならない、ということである。
著者は1990年から産経新聞パリ支局長。2001年から2006年末までに書いたコラムをまとめたもの。前著『大国フランスの不思議』(角川書店)の続編として読むと良いだろう。「はじめに」の最後で著者は次のように述べている。
さまざまな難問と軋轢のなかで、フランスは「自由、平等、博愛」という「共和国」としての自負と矜持を必死で守ろうとしている。グルメやモードという軟派のフランスとは異なる共和国フランスの本質と魅力のいったんでも読者に伝えることができ、現在、「美しい国」に向かって模索状態の日本に、ほんのささやかなヒントの一滴なりとも、もたらすことができたら、望外の喜びである。
内容(「BOOK」データベースより)
フランスの歴史、政治、文化、あらゆるものが凝縮したエリゼ宮。ポンパドール、ナポレオン、ヴィニー、ドゴール、ミッテラン、シラク…、約300年間の歴代住人の素顔も探る産経新聞パリ支局長の渾身作。
内容(「BOOK」データベースより)
第二次世界大戦とアルジェリア戦争で二度祖国を救い、戦後の国際社会で不退転のリーダーシップを発揮してフランスの独自性を大胆に打ち出したドゴール。長い特派員経歴を持つ著者が、徹底した関係者への取材を通して、これまでのドゴール像を全く一新する血の通ったドゴールの姿を浮き彫りにした、渾身の書下し評伝。
内容(「BOOK」データベースより)
福島第一原発事故をめぐる日本当局への海外からの批判は、日増しに強まっている。「事故ゼロ」というファンタスティック(幻想的、夢想的)な非現実主義の立場から、原発を推進し、あるいは容認して、ついには3・11フクシマの悲劇を招いた挙げ句の、事故後の不透明な情報開示、国内外への対応の遅滞―。世界第2の核大国フランスの徹底的な現実主義の厳しい視線に晒されて、今、私たちが本当に改めるべき理想論、妄論の体質を、パリ在住二十余年のジャーナリストが、フランスの原発関係要人への取材を基に問う。
内容(「BOOK」データベースより)
原発、デモ、ユーロ堅持、リビア空爆…。存在感を示す欧州の大国フランス。21年間滞在のパリ支局長がみた“誇り高き国”の学ぶべき流儀。
内容(「BOOK」データベースより)
フランス国民は、歴代大統領の恋愛スキャンダルをなぜ許すのか。ヨーロッパNo.1の出生率を実現できたのはなぜか。世界で活躍する強いリーダーを輩出する教育制度とは。記者活動に対しレジョン・ドヌール勲章シュヴァリエなど3つの勲章を受章した著者が、グルメ、アート、歴史だけではわからないフランスをレポートする。
内容(「BOOK」データベースより)
2015年1月7日、フランスの風刺週刊誌「シャルリ・エブド」の社屋が編集会議のタイミングでテロリストに襲撃された。後に兄弟だとわったテロリストは「アラビア半島のアルカイダ」との関連が判明。そして、ほぼ同時にユダヤ系のスーパーに人質を取って立てこもったテロリストはイスラム国との関連を明言した。北アフリカなどからの移民を数多く抱え、イスラム国や反シリア勢力に参加する若者が後を絶たないフランスは、これまでもテロに悩まされ続けてきた歴史を持つ。そして、そのテロとの対峙の仕方に、フランスという「国のかたち」が見える、とフランスで21年間ジャーナリストとして活動してきた著者は指摘する。そこで、テロと無縁とは言えなくなった日本が学ぶべきことはあるのか。
著者は1995年から99年まで時事通信社パリ特派員。ジャーナリストらしく、政治や社会の分野に話題の焦点が絞られているが、日本では知られていない(あまりに知られていない!)フランスの ― フランス人の ― 姿が見えてくるだろう。「あとがきとして」によれば、「フランス社会の雰囲気を、そのまま再現できないだろうか」と思ってまとめはじめたのが執筆の動機とのことで、「日仏の比較は意図的に避けたが、フランスの姿を通じて、数ある国のなかで日本だけが《特殊》な国でないこともわかってもらいたかった」とある。
どの国にも、別の国から見たらびっくりするような《特殊》な点がいくつもあることを知ることによって、《日本特殊論》のような思い込み、《****一辺倒》のような思い入れから自由になる ― それがおそらく著者のねらいだろう。
上に紹介した山口昌子氏の本とあわせて読むと良い。
事典とあるが、読み物としても十分楽しめる。フランスとフランス人をさまざまな角度から眺められる本。だが、出版後すでに4分の1世紀以上が経過しているので、さすがに古くなってきた。
フランスの全体像を知ろうと思ったら、まずはこの本を読むとよい。写真・図版が多いのも、初心者にはありがたい —— という本だったのだが、もう絶版か品切れのようだ。図書館で読むしかなさそうである(長崎外大の図書館にはおいてある)。だが、この本も古くなってきたので、情報の鮮度は残念ながら落ちている。
フランス各地に伝わる俚諺(りげん:民間に伝わる簡潔で含蓄に富む短い言葉)を紹介しつつまとめたフランス民俗文化誌、歳時記。フランス人の伝統的な日常生活を1年間の暦に従って知りたいという人にも大変役に立ちます。 本学ライブラリーで読むことができます。
放送大学教材だが、劇文学を大幅に取り入れるなど新しい観点からフランス文学をとらえなおした斬新なフランス文学入門書(といってもレベルは非常に高いので、専門家も一読の要あり)。従来の常識(中世から現代まで)に反し、あえて17世紀からはじめたところにも、新しい切り口からフランス文学を語ろうとする著者の姿勢がはっきり示されている。教科書としては例を見ない450ページ近い「大著」であるが、とにかく読んでみるとよい。(学生に買わせるには躊躇してしまうような値段なので、買って読めとは言わない。図書館を利用すること。)
中世から現代までの主な作品を取り上げて解説しながらフランス文学の特徴と、文学作品の読み方を解説している。放送大学のテキストとして書かれた本だが、一般書としても十分な読みごたえがある。フランス文学入門はまずこの本で。
(放送大学教材として出版されたものだが、授業内容--および教科書--が変わったため、もう手に入りにくくなっているのが残念。)
きちんとフランス文学史を勉強しようと思ったらこの本がよい。
コンパクトにまとまったフランス文学入門書。値段が安いのも魅力のひとつ。
主要作家、主要作品を取り上げて解説。文学史年表は簡潔にまとまっているし、重要事項解説も便利。上手に使えば大変役に立つ。1980年出版なので、せっかくの翻訳文献・参考書案内が今では古くなってしまった(その後絶版になった本が多く、またこの間に出版された本もだいぶある)のが残念。
ジャンル別の本格的文学講座。構成は次の通り。